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【人妻】二十八歳の子持ち人妻に女を教えてもらった少年



緊張感の途切れる昼下がり。

とある宙学校の一年の古文の授業中に、辻原文太(つじはらぶんた)は小さなため息をついた。 昼食後のこの時間帯はいつもやる気が出ない。まあ、彼の場合、全ての授業において熱意を抱くことが無いのだが。文太の席は、黒板から最も遠い後ろに位置しており、なおかつ窓際である。 彼は視線を左に向けて外の風景をぼんやりと眺めることにした。



代わり映えの無い景色。

少しずつ気温が上がってきた六月の中旬の空は、やや曇っていた。

……傘を持ってきていないことを思い出し、余計に憂鬱な気分になってくる。



「こら、辻原! 授業に集中しろ!」



古文担当の教師が教壇の上から一喝する。



「あ、は、はい、すみません……」



クラスメイト達の口からクスクスという笑い声が聞こえてくる。

それはあまり温かい意味を持ってはいなかった。

文太にとって、それは”嘲笑”だった。

この教室内に、文太の友達はいない。

では、他のクラスにはいるのかというと、そうでもなかった。



彼は孤独だった。

顔立ちがあまり良くなく、勉強にも運動にも秀でていない。

彼には何一つ誇れるものが無かった。

加えて、人付き合いが苦手なので、自然と彼の周りには人が集まらないのだった。



苦痛でしかない授業が終わると、荷物をまとめてさっさと教室を後にする。

部活に所属しているわけではないので、放課後になれば学校にいる必要が無くなる。

彼にとってここは居心地の良い場所とは言えない。

一秒でも早く立ち去りたいというのが本音だった。



(ああ、やっと終わった……)

一日の疲れを感じながら、とぼとぼと通学路を歩く。

代わり映えしない風景を眺めていると、下校する時はいつもそうなのだが、

彼の頭が――――彼自身はそれを望んでいないにもかかわらず――――さっそく今日の出来事を反芻し始めた。





「ねえねえ、昨日のドラマ観た!? 主演の松原クンが超カッコ良かったよね~!」



「オレ、B組の新崎さんにコクっちゃおっかなー!」



「サッカー部の伊沢先輩って、彼女さんいるんだってぇ。マジショックぅ~」



過去の時間から聞こえてくるのは、クラスメイトの話し声だった。

誰も彼も、男女関係のことで熱心になっている。

身体が急激に成長を始める宙学生一年生の少年少女達は、そういったことに興味津々なのだ。

文太は彼らの会話を聞くのが嫌いだった。

なぜかと訊かれても、上手く答えられない。

強いて言うならば、”自分が関与できないから”かもしれないと彼は思った。



(僕には関係ない事だ)

自分ほど長所を持たぬ人間が、果たしてこの世にどれほど存在しているのだろうか。

そしてその人々は、自分と同じように、恋愛に関与せずに生きているのだろうか。

文太は、将来の自分の姿を思い浮かべてみた。

きっと、妻も子供もいない。

寂しい一生を送るに違いない。

そうとしか思えなかった。

今まで、一度も女性に好かれた経験など無い。

これからも女性とは無縁の生活が続くのだろう。



(もしも僕に、恋人がいたなら……)

遠くの夕焼け空を見つめながら、空想を広げる。



スタイルが良くて、優しい人。

料理が得意ならなお良い。

毎日、僕を起こしてくれて、僕のために弁当を作ってくれるんだ。

僕は一生懸命働いて、彼女の待つ我が家に帰る。

そして、夜は、夜は……!



と、そこへ――――チリンチリン!

後方からの音に夢想を掻き消され、慌てて後ろを振り返る。

それとほぼ同時に、一台の自転車が文太を追い越していった。

いきなり現実に引き戻された文太は、

もう一度架空の女性を頭の中に作り上げようとは思わなかった。

なんだか、空しい気分になってしまったのだ。



(早く帰ろう)

嫌な思いを振り切るように、彼はその足を速めた。



「あら、文太君じゃないの。おかえり!」

住宅が密集している通りの十字路に差し掛かった時、

半透明のビニール袋を右手に提げている大人の女性に声をかけられた。



「あ、どうも。紫織さん、こんばんは」

文太は少し元気を取り戻したような笑顔で挨拶をした。

女性の名は香山紫織(かやましおり)。

辻原家の隣に住む二十八歳の主婦だ。

夫は海外へ単身赴任しており、紫織は正学一年生の娘と二人きりで暮らしている。



(ああ、綺麗だなあ、紫織さんは……)



優しい性格が表に滲み出たような柔和な顔立ち。

すっきりとした輪郭に、栗色のロングヘアー。

毛先には、軽くカールがかけられている。

身体にぴったりと張り付くような薄い生地のTシャツとスリムジーンズは、

彼女のボディーラインをはっきりと浮かび上がらせていた。

全体的にほっそりとしているのだが、胸と尻だけは例外的に大きく突き出ている。

それらが持つ美しい曲線は、括れたウエストと組み合わさってさらに魅力を増しているように思えた。



いつまでも観賞していたいと思えるものだったが、ジロジロ見て良いわけはない。

邪な思惑を感じさせないように、注意しながら視線を送った。



「ねえ、今日は久しぶりにウチで一緒に晩御飯を食べましょうよ。一人で食べるのも寂しいでしょ?」



笑顔で紫織が提案してくる。

文太の母親は彼を出産した直後に他界しており、父親はこの春から遠方へ単身赴任していた。

そういうわけで、彼は自宅で一人暮らしをしている。

隣同士の辻原家と香山家は元々家族ぐるみで仲が良かったため、

文太が一人になってからは紫織が彼を積極的に食事に誘っているのだった。



「はい。それじゃあお邪魔させてもらいます」



満面の笑顔での二つ返事だった。

香山家に招かれることは文太にとって大変嬉しいことである。

モテない上に口下手な彼がまともに交流できる女性は紫織だけだった。

それに、彼は同世代の女性にあまり関心が無いのだ。



(紫織さんと比べると、クラスの女子なんか、ただギャーギャーうるさいだけのガキだよな……)



ふわり、と甘い匂いが鼻腔をくすぐる。

二人並んで歩いているうちに漂ってきた、隣の女性の芳香だった。

文太はこの匂いが好きだった。

年少の女子には無い、濃厚な大人の女の匂いだ。



(結婚、か…………)

もし一緒に暮らすなら、紫織のような女がいい。文太はそう思った。



「今夜はね、ハヤシライスよ。楽しみにしててね」

「はい。期待してます」

夕暮れの道を、二人で帰る。

一人で帰るよりも、ずいぶんと太陽が優しく見えた。



「それでね、ネットしてたら急に電源がプチッと切れちゃって……」



香山家の台所は、夕食の香りに包まれていた。

テーブルの上には、ハヤシライスとサラダとコーンポタージュ。

ハヤシライスもコーンポタージュも、文太の好物だ。



「う~ん。何か変なページを開いたんじゃないですか? ブラクラの可能性があると思うんですけど」



文太はパソコンに詳しいので、機械に疎い紫織の相談を受けることがよくあった。

今も、料理を口に運びながらパソコンの不具合について談じている。

そこにはもちろん、紫織の娘である正学一年生の直子もいた。

もっとも、彼女はまだ幼いので、今の彼らの会話は難しすぎて理解できないようであったが。



「ブラクラ、とかそういうのはよくわからないんだけど……。とにかく、直接視てもらえるかしら?」

「いいですよ。それじゃあ、この後すぐにでも」



二人で、二階への階段を上がっていく。

香山家のパソコンは夫婦の寝室に配置されている。

この部屋に入るのは初めてではないが、やはり緊張してしまう文太だった。



宙一の彼の性知識は、主にインターネットで得られたものだった。

子作りがどういった行為であるのかを、彼は既にある程度知っている。

それゆえ、どうしてもこの部屋での香山夫婦の夜の生活を想像してしまうのだ。



「たぶん、直せると思いますよ」

「そう、良かった。それじゃ私は洗い物をしてくるから、後はお願いするわね」

上機嫌でそう言って、紫織は一階へ下りていった。



「これでよし、と」

復旧作業は思ったよりも早く完了した。

急に手持ち無沙汰になってしまった少年は、

なんとなくキョロキョロと部屋の中を見回した。



部屋に入って右奥にあるのが夫婦用のダブルサイズベッド。

その右横にあるのがパソコン。さらにその隣には、

紫織が使うであろう大きめの鏡台があった。

それを眺めながら、今ここには無い熟女の姿を想像する。



ベッドに背を向けるようにして鏡台の前に座り、

美しいブラウンのロングヘアーをブラッシングする寝巻き姿の大人の女。

そして髪の手入れを終えた彼女は、

くるっと振り向いて優しく微笑んでくれるのだ……。



(ああ、いいなあ。旦那さん、いいなあ……)



そんなことを思いながら、チラッと横目で鏡台の隣の木製の洋服ダンスを見る。

あの中には、紫織の衣類が入っているはずである。



(紫織さん、どんな下着をはくのかな……)



不謹慎であると理解してはいても、いったん始まった妄想はもう止まらなかった。



清純そうな紫織にはやはり白が似合うだろうか、いや、それともピンク?

様々な色が文太の脳内をぐるぐると駆け巡っていく。

彼は女性の下着についてあまり明るくなかったので、その形状を詳細に想像することはできなかった。

しかしながら、自身の股間を昂らせるには充分だったようで、既にズボンの前方はパンパンに張っていた。



そうなると、邪な考えが浮かんでくる。

息を止め、周囲の音をうかがってみた。

下の階の方に意識を集中する。

未だ、紫織が二階に上がってくる気配は無い。



(ちょっと見るだけだ。ちょっと見るだけだから、いいんだ、うん)



自分を納得させると、彼は自分の手を、

四段ある洋服ダンスの上から二番目の引き出しの取っ手にかけた。

余計な音を立てないように、恐る恐る自分のほうへ引っ張っていく。



すると、そこには意外な光景が彼を待っていた。



(えっ……!? すごい………………!!)



原色かと思えるほどに鮮やかな赤、青、黄。

朝露を付着させた草原のような緑。

高貴さと妖しさを秘めた紫。

闇夜を切り取ったかのような黒。



思春期の少年を惑わせる魔性の色彩が、そこにあった。



(こっ……こんな派手なパンツを穿くのかっ、紫織さんは……!)



きちんと配列された色の数々が行儀良く彼を迎える。

文太は心臓の高鳴りを感じながら、その中の一つにゆっくりと手を伸ばしてしまっていた自分に気付いた。

見るだけだと決めていたが、文太の脆弱な理性は下着を目にした瞬間吹っ飛んでいたのだ。



(べ、別に盗るわけじゃないし……後でちゃんと戻しておくから、い、いいだろ……)



彼が手に取ったのは、一際目を引いた真紅のショーツ。

シルクの表面は複雑な装飾が施されており、保温などの基本的な下着の機能以上のものを彼に感じさせた。

さらに彼を驚かせたのは、その形状だ。

臀部を覆う役割を持つはずの部分はかなり小さめに作られており、

それはいわゆる”Tバック”と呼ばれているものに違いなかった。

宙学生一年生の文太には刺激が強すぎる下着。

同じタンスに収納されている他の下着も、同様の装いで彼を驚かせるのだろうか。



(…………いけない……いけない………………………………でも…………)

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